イベント前に「鎌倉殿の好きな回・好きなシーンの話をして〜〜!!」とツイートしていたところ、お題箱を通じて何名かの方からお便りを頂きまして……! 送ってくださった皆さん、ありがとうございました。 返信ご不要とのことでしたが、皆さんからのお便りを読んで「ウンウン!!!!」となるのがすごく楽しかったので、返信の代わりとして以下、私も好きな回と好きなシーンを書きたいと思います。 こういう日々の趣味雑記帳としてもサイトを使ってみたかったのでやってみます。歴史オタクということは一切なく、マジでただ今ハマってるものについて捲し立てているオタクのおしゃべりです。気になる方だけどうぞお付き合いください。
好きな回、皆さんに軽く質問しておいて私もすごく迷いました……。が、もし未視聴の人に一話だけ見てほしい回を選ぶなら?という視点で考えて、だったら第20回「帰ってきた義経」にしようかなぁと思いました。 1年という長い放送時間をかけて主人公の一生を描くという性質のドラマなだけあって、初期のシーンがかなり後から回収されたり、登場人物どうしの人間関係が時間を経て少しずつ変わっていったりと、長く追っていればいるほど味わい深くなっていく作品だと思います。ただ第20回は、御館(田中泯さん)や静御前(石橋静河さん)の舞が本当に印象的で、それ単体で見ても芸術として本当に素晴らしく、この回だけを見ても“圧”が伝わるんじゃないかなぁと思いました。静御前のしずやしず、弁慶の立ち往生など、なんとなく日本史で知ってるなという人が多いシーンも詰め込まれているので、途中からでもいいからちょっと観たい!という人でも比較的観やすい回なのではないでしょうか。 布教視点の話が先に来てしまいましたが、それを抜きにしても好きなシーンが多かった回でもあります。 【以下ネタバレみが激しくなりますので、これから見たい人のために一応ワンクッション挟みます】
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里の最期、里が九郎に京都の一件の真相を告げて、激昂した九郎が里を刺してしまうシーン。里の執念と、こときれたあとのどこか満たされたような表情と、自分のしてしまったことに愕然として泣いて謝る九郎。どちらに対しても完全に感情移入はしないのですが……人間の思考や性格って決して理路整然とした一面的なものではなく、多面的で複雑で時に破綻することもあって、でもそのすべてが偽りではない本当の感情で……それがかえってキャラクターとしての奥行きを増させているというか。 以前Twitterでも書いた気がしますが、静と里と九郎、三人が三人とも、良く言えば意志が強かった、悪く言えば勝手だったというような印象を個人的には受けました。三人がみな自分の意地や意思を通して、彼女・彼らの幼い子どもたちがその犠牲になったと感じてしまって(もちろん、三人それぞれが時代の犠牲者ではあるのですが)。やるせなく、切なく、三者三様に見事な回だったなと思います。 そこ以外にも、九郎義経の最後のシーンもこの回なんですよね……! 返信不要でお便りくださった方の中におっしゃってる方もいましたが、九郎ならあの場を脱出することもできただろうと思える演出(実際に小四郎は脱出できるようになっていた)によって、九郎の覚悟がより際立って見えて。あとは弁慶の立ち往生、どんなふうに描いてくれるのかなと楽しみにしていたのですが、あの手作りガンダム鎧を見せてくれたっきりというのも……! 弁慶の最後の活躍、それはそれは勇猛で頼もしく爽快ですらあったのだろうと思うのですが、その姿を目に焼き付けていいのは九郎ただ一人なんだなという、そんな演出がたまらないなと思いました。あとは(ドラマには一切出てきませんが)源義経と武蔵坊弁慶の辞世の句について知らなかったのですが、この回視聴後に初めて知りまして、それにもまた余韻を掻き立てられるなどしました。 九郎が梶原平三景時に鎌倉攻略の策を教えるのもよかった。リアタイ視聴時は少し癒されるというか「良かったな」と思えるくらいだったのですが、後々平三が京移籍の道を絶たれてああなってしまうのに際して(→梶原景時の変)色々な理由があったとはいえ、あの時にクリティカルな鎌倉攻略案を把握してしまってるというのも小四郎の中にはあったんだろうなと思いました。九郎の策、実際の鎌倉幕府滅亡時のシナリオにもかなり近いと後から知った時も震えましたね……。 あとは第20回以外の好きなシーンですが(まだあるの!?)第17回「助命と宿命」冠者殿の最期、刀の鞘に鞠の紐が絡まるシーンですかね……! もうここに関しては説明は不要かと思いますが……。大姫との思い出のいとおしさはもちろん、なんというかこれも「あの人たちのことは信用できない」「もう鎌倉には戻らない」と決心した中の揺らぎを表すもので、それが文字通り命取りになってしまって。そういう“人間の揺らぎ”“一人の中の矛盾”のようなシーンが個人的にはすごく好きなのかもしれません。 上総介の件について平六に相談をして、おまえは本当は仕方ないことだとわかってる、と言われてしまう小四郎とか。上総介を斬る直前まで迷い続けて、らしくない大声をあげて斬りかかった梶原平三とか。一幡、の二文字を目にした瞬間に致命的な隙を作ってしまった善児とか。「父の仇!!」の叫びの後、消えいるような小さい声で「母の仇……」と呟いたトウとか……。鬱シーンばっかりか!? でもなんというかこれらも、作品の中のキャラクターでありながら彼・彼女らの人間としての奥行きを感じさせるようなシーンでどれも好きでした。 しかし逆に、上総介広常や畠山次郎重忠といった男たちは“全くブレない”ことでもって存在感を見せつけてきたわけでーー……。なんだろう、ここで書けなかった登場人物も魅力的なキャラクターばかりだと思います。
すみません、書けば書くほど「あれもこれもまだ書いてねえ!!!」となって無限に続きそうなので、まだ全然書けてないこともあるのですが、一旦今回はこの辺りで〆とさせてください。オタクっておしゃべりすぎる! ありがとうございました。