Privatter再掲:赤ブーブー通信社についてメモ

※初出:22.02.13
サークル参加を続ける・同人活動を続けるにあたって、当時の自分の考えを整理するために書いた文章です。
以下Privatterの再掲です。




先日の赤ブー公式ツイートとその関連で話題になっている件について、イベントに参加する前に少し立ち止まって自分の胸の内を整理してみました。
考えを整理するのに3日間かかりましたが、2月20日のイベントには(体調管理や感染対策に気を配り、体調不良などがなければ)いまのところは参加しようかと考えています。

※自分の考えを整理したメモであり、他者への行動変容を促すことを直接の目的としてはいない文章です。なので拡散されることはあまり望んでおらず、このような形で書き残しておきます。

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1.)両氏に対して思うこと

「女子差別撤廃条約の理念や目的には賛同している」のであれば、両氏が今尽力している活動と並行して、今後はその方向の活動についてももっと力を入れてほしいと思いました。
女性の権利を守っていきたい・不当な扱いを解消していきたいという理念と、表現の場を守りたいという理念は両立し得る(というか両立されなければならない)と私も考えています。ただ、女性の権利を守るということを真剣に突き詰めて考えた先に、件の動画内でなされたような表現は出てこないのではとも思っています。そのため「女子差別撤廃条約の理念や目的には賛同している」という言葉が添えられているとしてもピンと来ていない、不信感は拭えていません。
表現の場を人一倍愛している人間なのであればなおさら、自分から発する表現については慎重であるべき、いま存在する格差や差別を軽視していると思われかねない表現は控えるべきだと思います。いま女性が(あるいはほかの弱者やマイノリティが)被っている不当な扱いや格差に対して、両氏が今後より一層真剣に向き合った行動や発言をされていくことを望みます。

2.)赤ブーブー通信社に対して、率直に思うこと

2021年4月、青海にて開催予定だったイベントが開催前日に急遽延期となる事態が発生しました。一ユーザーである私から見ても、赤ブーブー通信社や関係各社が受けた損害は甚大なものであったであろうことは容易に想像できました。
これはさらに私の想像ですが、メディアで語られた前日判断の様子からうかがうに、同社としては「都や政府に円滑にコンタクトができるパイプがあればもっとうまく立ち回れた」と考えたのかもしれません。そこで、「オタク」や「同人誌」に造詣が深いとされる議員の方とコンタクトを取ろうとしたのかもしれません。

表現の場や手段が不当に奪われる・制限されることへの抵抗は私も感じます。ただそれとはまた別に、政府や強大な権力・あるいはマジョリティー側の人々に、表現が“利用される”という事態も想像するととても恐ろしいと思っています。利用者の多数が女性という、その属性だけで格差を被っている層であることもあり、私個人はなおさら強くそういった可能性に対して敏感になっています。上記のような事態で困窮したことはとてもよくわかるけど、それでも権力側に近づくような姿勢はできればとってほしくなかった、というのが率直な感想です。
(権力組織の中でも業界に理解や造詣のある方々である、ということはこの点のフォローにはならないと思います。有事の際に「あなたたちはあのとき生かしてあげたでしょう、だから今は我々に協力しなさい」と言われて利用される、という可能性の排除にはつながらないので)

3.)同人イベントに対して、率直に思うこと

本当に大好きです。今までたくさんかけがえのない経験をさせてもらいました。
すてきな思い出の数々はもちろん、同じ趣味を持つみなさんの優しさがもたらしてくださったものに他ならないのですが、この“場”がなければこの経験を得られることもなかったというのも事実です。

オフラインの場がなくても、オンラインでも、特にイベントなどに合わせたりせず自分の好きなタイミングでも、同人誌を発行することはできます。実際に私は、コロナ禍のあいだそうしてサークル活動を続けてきました。だから「なければ生きていけない」「なければこの趣味を続けられない」とは思わないのですが、「ほかの場や手段では代替できない経験や価値がある」とも確実に思っています。その経験や価値のことをとても大事に思っています。

4.)自分が考えた、これからできること

1.)について
両氏の姿勢に不信感を持っているから、両氏とかかわりのあるイベントには参加しない! というのはひとつのスタンスとしてありうると考えています。今回私も悩みました。
ただ3.)のような思い入れが私の中でどうしてもまだ強いので、両氏に対する意見を示す方法として「不参加」以外で何かできることはないかなと考えました。いま私が思っていることについては追々意見として個人的に送ってみるのがいいかな、と思っています。

2.)について
率直な感情は先述の通りですが、現在、コミックマーケット準備会や全国同人誌即売会連絡会が山田太郎氏ら議員とコンタクトを取って文化庁に働きかけをしているという事実は既に存在しているので、「今から距離を取ってほしい」という意見が現実的ではないとも思います。
うまく答えは出せていないけれど、赤ブーには上記のようなリスクや視点を理解してもらった上で、諸氏やその後ろにいる強大な権力と、なるべく透明性のある距離感でいてほしいというのがいまの考えかな、と思います。
これらの考えも「不参加」だけでは赤ブーには伝えられないと思ったので、意見を送る方法を考え中です。(適切な問い合わせ窓口がなければ郵送しかないのかしら…?)

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ここまで書いたことは、2022年2月時点での考えでしかないので、これからの諸々の展開や状況を鑑みて、考えを変えることもあるかもしれません。状況だけではなくて、自分の感情の揺れももちろんあると思います。

結局参加するのであればお前は何も言ったことにもなっていない、という意見に対しては返す言葉もありません。今日の自分の思考について書き残しておきたいと思った次第です。これからの日々、自分に何ができるのか、心のうちでは考えながら行動できたらいいなと思っています。